日常の小道

社会人の日常を書いています。

2021.11.2(入院2日目)

 手術当日の12時30分、着物に着替えた後、点滴の台車を引きずりながら自分の足で手術室へ行く。人生で初めて見た手術室は無機質で、どこか現実離れした空間のように感じた。スリッパに履き替え、手術台に上がり横になった。手術台は暖かく、これまた不気味だった。両手に心電図をとる装置?が取り付けられると、心拍は激しくなりピーピーというアラーム音が鳴った。先生は落ち着いてと声をかけたり、手をさすってくれたりしてくれたが、とても落ち着くことはできなかった。大きく深呼吸をした後、酸素マスクが取り付けられる。さらに数回呼吸して、気が付くと術後だった。

 おそらく手術室の隅の方で目が覚めるのを待っていたと思う。看護師が、僕の目が覚めたことに気が付くとベッドごとエレベーターに乗って病室まで移動した。左人差し指には血中酸素計、胸には心電図、腕には点滴、口には酸素マスクが取り付けられた状態で2時間絶対安静となった。

 2時間後、歩いてトイレに行きおしっこをしたら泡が出て、同時に激痛が走った。麻酔で気が付かなかったが尿管ステントが入れられていたらしい。そのせいで膀胱内に空気が入ったのだろう。目が覚めた時にはすでに外されていたが、本当に痛かった。尿路結石が世界三大激痛に入る理由が分かった気がする。

 口の中で唾液が大量に出て、それを飲み込むたびに喉が痛かった。その日はほとんど眠ることが出来なかった。

2021.11.1(入院1日目)

 生検で高度異型細胞が発見されて2週間後、ようやく手術のため病院に入院することとなった。若年の癌は分散しているため進行が早く、毎日が不安で仕方なかった。入院初日はようやく入院できるという安心感と、明日全身麻酔の手術を受けるという不安が入り混じっていた。色々な人から連絡をもらい、どちらかと言えば安心感の方が強かった気がする。病院で夕食を食べた。この先、当分は普通のご飯が食べられないということを覚悟して食べたおかずはとても美味しく感じた。

2021.10.22

 今日は母親からとげぬき地蔵のお守りを送ってもらいました。半年前に父親も大腸がんになり、心労が絶えない中ありがたいことです。ついでにさくさく日記という煎餅もついていました。どう考えても一人で食べきれない量、会社の人に配った方が良いのでしょうか。

 そういえば、舌癌の原因の一つとしてビタミン不足があるようです。たしかに私は偏食気味のため、スーパーでトマトとみかんを買って食べました。野菜を食べるのは久しぶりな気がします。そのおかげか調子がいい感じがします。今更感はありますが少しでも良くなって欲しいです。

2021.10.21

 数日前、病院にて生検を受けた結果、舌部に上皮内癌が見つかりました。20代男性では珍しいようで、鎮めようのない恐怖を感じながらどこかに発散したくてブログを書き始めました。数週間後には入院し、全身麻酔による手術を受ける予定です。先生の話では上皮内癌はステージ0の段階、筋肉まで浸透するとがん細胞が全身にめぐるため更なる検査が必要になるそうです。上皮内癌は切除すれば転移の心配もないそうですが、一度癌になったというショック、若いため手術までに進行していないか、今後も再発に怯えるのかと思うと辛い気持ちになります。

 今まで普通に生きてきて、死はいつか訪れるもの程度にしか認識していなかったため余計に恐怖を感じています。最初のブログということで簡単に経緯を説明してみました。

 そんな恐怖の中、今日ニュースで堀ちえみさんの記事を読みました。ステージ4の舌癌で舌の60%を切除し、食道がんも患ったにも関わらず彼女は生きています。眠れない日々を過ごしていましたが、少しだけ安心することができました。こんな感じでしばらく日常のブログを書き続けたいと思います。